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マイナンバー制度をがっつり勉強する

マイナンバー制度の概要、そして詳細を理解することを目的としたブログです。

デンマークの個人識別番号とはどのような制度か?

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前回の記事ではエストニアを紹介しました。

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今回紹介するのはデンマークです。デンマークではマイナンバーに似た制度として、
個人識別番号・CPR(Central Persons Registration)が1968年に開始されました。

アメリカが社会保障番号制度を始めたのが1936年、韓国の住民登録番号が1968年、イギリスで2006年、ドイツで2003年、エストニアで2002年、そして日本では2016年~と見てみると、デンマークがマイナンバーを開始したのも早い時期だったと言えるでしょう。

 

制度の概要

デンマークのCPRはもともと、ドイツと同じく税務関連における管理番号としてスタートしました。それが徐々に他の分野にまで広がり、今では社会保障や医療、教育分野、さらには銀行の登録などの民間サービスにおいても使われるようになっています。現在の日本とは異なり、デンマークでは民間企業での利用も制限されていないために、非常に幅広い活用がなされています。

CPRで用いられる個人番号は生年月日と4ケタの番号が組み合わされています。日本のマイナンバーはすべてランダムに設定されますので、このあたりは大きな違いと言えるでしょう。また各桁に意味もあるので、当事者の性別などさまざまなことがわかるようになっています。

以前は紙製のカードが使われていましたが、それは2010年に廃止されています。現在は逆に国民健康IDカード、運転免許証、パスポートに個人番号が記載されるようになっています。

CPRの特徴

デンマークの制度の特徴の1つはITシステムとの連携です。デンマークでは住民番号をもとに、さまざまな登録情報を一元的に管理できるシステムが出来上がっています。ウェブ上で税金や健康医療、教育などについてさまざまな情報をチェックできるのです。このおかげでさまざまな申請等の手続きがデジタル化されて簡単になることで、日々の生活が便利になっています。

政府としてもいわゆる電子政府の構築を目標にしており、上述のようにさまざまなことをインターネット上でできる仕組みが既にできています。セキュリティについては、政府から独立したデータ保護庁という組織と、国防省のサイバーセキュリティーセンターがそれぞれ運用をしています。

プライバシーに寛容なお国柄

日本と同じように当初はこうした取り組みに反対の声がなかったわけではありませんが、プライバシーに関する被害がほぼ起こらなかったこと、そして政府としても地域住民を巻き込むことを念頭においた取り組みをしたことで、反対運動はなくなりました。

背景にはプライバシーに関して寛容な国民性も関係があるようです。上述のように、CPRの個人番号には各桁に意味があり、それを見るだけで生年月日等の情報を知ることができます。それにもかかわらず、現在ではこの形態が当たり前のこととして流通しています。

また、北欧では同じ名前の人も珍しくなく、日本と比べるとお役所等で困ることも少なくないようです。その点、CPRがあれば管理側も利用者も非常に便利になるために、プライバシーの危険性よりもその利便性が重視されているということもあるようです。

 

現金を利用できなくなる!?制度の弊害?

そんなデンマークのCPRですが、問題がないわけではありません。その最たるもののひとつが、デンマークにおいて、2016年以降は現金がほとんど使えなくなる可能性があるということです。事の発端は政府が指定された業種については、現金払いを拒否できるという方針を表明したことです。

それに応じる形で2013年にデンマーク最大の銀行であるDanske BankがMobilePayという電子マネーのアプリをリリースしました。これは既にデンマークの多くの人に普及しており、ほとんどの人がこのアプリで決済をするようになっているそうです。

行き過ぎた管理社会?

現金払いができないというのは時に不便もありそうですが、さらに問題視されているのがこのアプリがCPRの個人番号とひもづけられているという点です。つまり、このアプリを利用すると、いつだれがどこで何を購入したかというのが記録されることになるのです。入金額や残高も把握されることになってしまいます。

このようにプライバシーが筒抜けだということも問題ですが、さらにこのような状況が当たり前になると、今度は電子マネーが使えなくなるような事態が起きた時が大変です。電子マネーなしでは何も買い物をすることがきなくなってしまうということです。

確かに電子マネーがデンマークのように普及することは便利ですが、ここまですべてを管理できるということは、逆に危険があるのかもしれません。

 

 

以上、デンマークのマイナンバー制度「個人識別番号・CPR(Central Persons Registration)」についてでした。お読みいただきありがとうございました。

エストニアのマイナンバー、国民ID制度とは?

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前回はドイツのマイナンバー制度「納税者番号(Steuer-Identifikations-Nummer, IdNr)」を紹介しました。

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ドイツの制度はセパレートモデルと呼ばれるものでしたが、今回はフラットモデルの1つのであるエストニアの制度を紹介します。

フラットモデルでID制度を行っているのは他にスウェーデン、アメリカ、韓国、デンマーク、ベルギーなどがありますが、なかでもエストニアの制度はしっかり整っていることで知られています。聞き馴染みのない国だと思いますが、なぜエストニアの制度は優れているのか、どこが優れているのかを本記事で考えていきます。

 

エストニアってどんな国?

まずエストニアという国について簡単にご紹介します。ロシアの西に位置し、南にはラトビア、リトアニア、ベラルーシがなどがあります。国土の北川と西側は海に面しており、海を挟んだ北側にはフィンランドがあります。バルト三国の1つでEU、NATOに加盟しています。人口は約130万人の小国です。

IT立国として有名

特筆すべきは、はやくからIT立国化を国策として進めていた点です。もともと場所柄、めぼしい産業が育たなかったことで、このような方針になったそうです。電子政府、電子IDカード、ネット・バンキング等が早い時期から普及をしていました。他にも電子カルテ、ネット選挙ネット確定申告等も進められています。さらに政府そのものを電子化するe-Estonia(電子政府)という面白い取り組みも行われています。

ちなみに、いまや世界中で多くの人が利用しているIP電話・メッセンジャーのSkype(スカイプ)もこの国の生まれです。

こうしたIT立国としての施策を進める中で、マイナンバー制度、国民ID制度の構想が生まれ、実現のために施策が進められました。全国民へのIDカード交付が完了したのは2002年です。当然IT化もされており、インターネット上でさまざまなことをできるのです。

 

国民ID(マイナンバー)制度の概要

では、エストニアで行われているID制度はどのようなものなのでしょうか?一番の特徴は上述したITとの連携です。公的サービスのみならず、民間サービスも国民IDカードひとつで、まとめて管理、そして利用することができるのですが、その数なんと3,000を超えると言われています。日本でもマイナポータルがありますが、こうしたネット、ITとの連携という点ではエストニアのほうがはるかに進んでいそうです。

ただ、基本的には日本の考え方と近くなっています。国民はそれぞれIDカードを持ち(エストニアでは15歳以上は義務)、そこには顔写真等が記載され、ICチップが内蔵されています。そのカードを使ってさまざまなサービスを利用するわけです。本人確認するときはICチップを読み取らせ、各人のセキュリティ番号を入力します。

利用範囲の広さも特徴

もう1つエストニアの制度で特筆すべきは、そのシチュエーションの広さです。いくつかの用途について上に書きましたが、他にもEU圏内であればパスポート代わりになったり、民間企業等で会員証として利用できたり、お薬手帳も使えます。日本と似ているところもありますが、現状を見るとエストニアの制度からいろいろと参考にすべきところがありそうです。

しかし、そうなると気になるのはセキュリティの問題です。日本でも懸念されている話ですが、便利になればなるほど盗難や紛失が起きた時には、そのリスクが大きくなります。いったいエストニアではどのようなセキュリティ、プライバシー対策を行っているのでしょうか?

 

X-ROADによる強固なセキュリティ

セキュリティのみならず、エストニアのITシステムの中心となっているのが、X-Road(エックスロード)と呼ばれるシステムです。これはエストニアの社会保障や医療、各民間企業のサービスなどを統合する基幹的なシステムです。まずこれによってセキュリティを高めています。

サイバー攻撃の被害をきっかけにセキュリティを強化

さらに2007年にサイバー攻撃の標的となった過去を活かし、NATOのサイバーディフェンスセンターの本拠地になる、大統領がセキュリティを推奨する指導者として有名になったりと、政府が率先してシステムのセキュリティを高める努力を重ねてきたのです。

結果として、警察などの公務員がランダムにやむをえず国民の情報を見るようなことがあった場合にも、なんとそれが当の本人にわかるような仕組みが実現されています。逆にもし個人的な理由で国の職員、公務員が個人の情報を見るようなことがあれば、その人間は懲戒解雇になる可能性すらあるといいます。人々のプライバシーを守るという原則を信じ、それがきちんと実行されているのです。

 

 

以上、エストニアで行われているマイナンバー制度「国民ID制度」でした。お読みいただきありがとうございました。

ドイツ「納税者番号」制度の概要

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前回はイギリスの国民ID制度について紹介しました。

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次は同じくヨーロッパの国の1つであるドイツです。ドイツにもマイナンバーに近しい制度はあります。それは「納税者番号(Steuer-Identifikations-Nummer, IdNr)」と呼ばれるものです。11ケタの番号で、赤ちゃん、子ども、それから外国から移住してきた人も含めて、ドイツ国内にいるすべての人にこの番号は発行されます。2003年に納税識別番号がつくられ、2009年から運用が開始されています。

日本と同じように、引っ越したり、結婚したりしても原則として番号がかわることはありません。扱う分野は、名称の通り税金関連です。さらに詳しい内容を下記で紹介していきます。

 

個人情報の起点が納税者番号

さて、この納税者番号、基本的には税務関連での利用のみに限定されています。たとえば、社会保障を見れば、それぞれの分野で個別の番号がふられています。医療分野では医療被保険者番号というものが存在しています。

ということで、納税者番号は税分野だけということで、主には毎年の収入や納税額がシステム化され、転居の際の証明書として使われたり、転職の際の証明書として使われたりします。毎年の税金還付などの際にももちろん必要なりまう。

以前に行政分野を横断する形での個人識別番号制度が検討されたこともありましたが、これは裁判で違憲と判決がくだり、実現はされませんでした。ですから、現在でも行政分野ごとに個別の個人番号が存在しています。納税者番号もその中の1つです。

 

用途が税務関連に限定されている理由

このような限定的な使い方になっている背景には、前回の記事で紹介したイギリスと同じようにプライバシー管理への高い意識があるようです。最近は日本でもプライバシーについては様々な場面で安全性が意識されるようになりましたが、ヨーロッパ諸国はそういった点ではずっと進んでおり、危機意識も高いと言えます。ドイツが納税者番号という形で税務関連のみに絞っているのにもそのような理由がありそうです。

また、もう1点あるのが、ドイツが過去の悪習を廃止したいと考えているという言われ方もあります。ナチス時代にドイツではユダヤ人に番号をつけて管理していた時代があったことを繰り返さないようにという思いがあるようです。旧東ドイツ時代にも、すべての国民に12ケタの個人番号を交付して、IDカードの携行を強制していたという事実もありました。

以前、マイナンバーのような共通番号制度の利用が検討されたこともありますが、“人格権の侵害”として違憲だと判断された過去もあります。このような理由から、事務的には不便な便があるかと思いますが、それでも税務関連だけにしぼった使われ方がされているのです。

 

国民ID制度のさまざまな形

さて、ドイツでは上述のように各分野でIDを分けるという方式をとっていましたが、1つの番号で管理するという国も当然あります。このように、国民ID制度にはさまざまな形があります。ここでは代表的な3つの方式を紹介します。それぞれメリット・デメリットがあり、どの方式を選択するかは国の歴史や方針、国民性と言ったところも反映されているように思います。

1 セパレートモデル

ちなみにですが、ドイツのように各分野で異なる番号を使う個人情報管理の方法をセパレートモデルと言います。各分野で番号が異なるので、連携が手間取ったりというデメリットはありますが、個人情報を一元管理しないことによるセキュリティを高めるというのが根本的な考え方です。個人情報保護に敏感なヨーロッパなどではこちらが用いられることが多いようです。

代表的な国としては今回紹介しているドイツになります。ドイツではデータ保護観察官という職種もあり、個人情報の不適切利用を防ぐために常に監視をしています。

2 フラットモデル

逆に日本のように1つの番号を中心として各分野の情報をまとめて管理しようというのが、フラットモデルという考え方です。政府に対する信頼性が高い国、たとえば福祉の手厚い北欧などでは、わりとこういった方式が多いようです。日本で政府への信頼が厚いかはなんとも言えないところですが、国民全体でみるとプライバシーに寛容だったり、危機意識が低いということは言えるかもしれません。代表的な国としてはスウェーデン、アメリカ、韓国、デンマーク、ベルギー、エストニアがあります。

3 セクトラルモデル

ちなみに、実はあと1つセクトラルモデルという制度もあります。これは1つのIDを中心として、それぞれの分野の情報にアクセスする際にはトランザクションIDを作成して情報を利用するという方法です。近年ではアメリカはフラットから徐々にセクトラルモデルに移行しつつあると言われています。代表的な国としてはオーストリアがあります。

 

 

以上、ドイツの納税者番号についてでした。お読みいただきありがとうございました。

イギリスで廃止された「国民ID制度」とは?

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前回は韓国のマイナンバー制度「住民登録番号」について紹介しました。

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今回紹介するのはイギリスです。実はイギリスでは2006年にマイナンバー制に近しい国民ID制度が開始されますが、その後わずか5年で方針転換されて、制度が廃止されることになります。それまでに利用していたIDカードや登録簿などの個人情報はすべて廃棄されたそうです。いったい、イギリスのマイナンバー制度で何が起きたのか、廃止の理由はなんだったのか、見てみたいと思います。

 

国民ID制度の概要

まずは行われていた国民ID制度がどのようなものだったかを紹介します。大まかに言えば、日本や他国で行われている制度と目的や内容は大きな違いはありません。やはり公共サービスにおける手続きの効率化、また国民の利便性向上と言ったところです。各人の個人情報をイギリス政府が管理する英国ID登録簿(NIR)に集約して、個人IDカードによって、それらを利用してたのです。

日本と違うところとしては、やはり不法移民やテロリスト、犯罪意識への対応です。日本ではこうした問題を身近に感じることはまだ多くありませんが、もはや欧米諸国はテロが身近なものとしてあります。テロの発生を防ぐために入口のセキュリティを強化、事前に取り締まるというのも大きな目的でした。

2016年3月にはイギリスからも遠くはないベルギーで大規模なテロがありました。また、パリでのテロもまだまだ記憶に新しいでしょう。ヨーロッパ諸国が移民に敏感になるのも当然というものです。そうした側面もあり、イギリスのID制度も公的サービスの効率化よりも、テロ防止という意味合いのほうが強かったのかもしれません。

 

人権侵害という反発の声

そのような背景で始まった国民ID制度でしたが、開始以前から懸念されていたのが人権侵害という問題です。日本でもマイナンバー制度の法案が衆議院で審議入りしたころから、弁護士団体・婦人団体・文化人・芸能人の多くがマイナンバーに反対していました。クリス松村さんや尾木ママ、坂上忍さんなんかはメディアでも発言して取り上げられていたようです。

こうした声がイギリスでもあったわけです。そして、実際に運用が行われた5年間のあいだでそうした声が大きくなったということでしょう。マイナンバー制度は、国家により情報を統制されることで、自分たちの自由・人権が侵害されるということを、イギリス国民の多くが感じたということです。2016年1月から開始されたマイナンバーですが、日本でも同様の事態が起きるのかどうか、その点は注視しなければならないでしょう。

政権交代によって制度の廃止へ

ちなみに、上述のように一度は国政で決定された制度が覆された背景には、政権交代がありました。2006年当時に国民ID制度が成立した時の与党は労働党でしたが、それが2010年の総選挙で敗北することになるのです。13年ぶりの政権交代でした。保守・自民党の連立政権はもともと公約で国民ID制度の廃止を掲げており、公約通りになったというわけです。それほどまでに、潜在的な反対層がいたということですね。

とはいえ、一度は始まった制度がこうして廃止されるというのは、近代の政治においても非常に珍しい事例です。廃止後、英国ID登録簿(NIR)のデータは2011年2月までにすべて破棄されることになりました。その労力たるやすさまじいものだったと思います。日本においても、政府、企業、国民にすでに浸透しつつあるマイナンバーが、急になくなるなんてことになれば、様々な点でとんでもない労力がかかるはずです。

しかしながら、それをやりきった点にイギリスという国における民主主義の強さを感じざるをえません。マイナンバーのみならず、こうした国民の政治参加への姿勢というのは、日本は参考にするべきところがあるかもしれません。

 

 

以上、イギリスのマイナンバー制度、「国民ID制度」についてでした。お読みいただきありがとうございました。

韓国で普及している「住民登録番号」とはどのような制度か?

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前回はアメリカのマイナンバー制度である、社会保障番号制度(Social Security Number、略してSSN)を紹介させていただきました。

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今回紹介するのは韓国版のマイナンバー制度、「住民登録番号」です。アメリカの社会保障番号制度が始まったのはニューディール政策時の1936年でしたが、韓国の住民登録番号も歴史は古く、1968年にスタートしています。マイナンバー制度については、この2か国は日本よりずっと先輩ということですね。実際、日本でのマイナンバー開始時でもさまざまな点で両国を参考にしたそうです。

 

生活に深く浸透している住民登録番号

さて、この住民登録番号ですが、まず日本との制度との違いは桁数が13ケタ(意味合いとしては6ケタと7ケタで分かれています)だという点です。アメリカのSSNが9ケタでしたから、桁数というのは各国それぞれ違うようです。

活用されるジャンルとしては、大きくは下記になります。日本が現在では税・社会保障・災害対策に絞っているのと比べると、その対象範囲の広さがわかります。

  • 年金
  • 医療
  • 金融
  • 通信
  • 不動産取引
  • 住民登録
  • 選挙
  • 兵役
  • 教育

上記のように、民間事業者が行う本人確認等でも利用されます。実際の利用場面としては、運転免許の取得、銀行口座の新規開設、各種保険の加入時など、さまざなシチュエーションがあります。もちろん多少の違いはありますが、基本的な仕組みとしては日本のマイナンバーに非常に似ていると言えるでしょう。

 

電子政府サービス「民願24」との連携

韓国のマイナンバーで特徴的なのは、民願24と言われる電子政府サービスと連携している点です。この民願24は行政での各種手続きをすべてネット上で行えるシステムで、そのなかで住民登録番号を用いて申請等を行うことができるのです。

たとえば、戸籍謄本を取得する際には、PCブラウザから住民登録番号でログインして、家庭用プリンターから印刷することができます。他にもこうした公的な書類を家で入手することができるのです。その数はなんと約1300種類の証明書になり、約3000種類の届け出になるといいます。日本ではいまだこうした公的書類の取得のために、わざわざ役所まで出向かなければならないことがほとんどです。そう考えると、この民願24は非常に便利なサービスだと思えます。

日本のマイナンバーにもマイナポータルというWEBポータルサイトがありますが、今のところはこうした機能の導入は決定していません。もちろん、セキュリティなどいろいろな課題はあるかと思いますが、民願24のように便利になればいいなと思います。

 

相次ぐ個人情報の大規模漏えい事故

ただ、韓国の住民登録番号にも問題点はあります。その1つが個人情報の流出です。社会の急速なIT化、インターネットの普及によって、これまで以上に多くの事件が起きています。2008年にオークションサイトから約1800万件、2010年にショッピングサイト・クレジットカード会社から相次いで約2000万件、2011年にはネットゲーム等から約3000万件、2014年には大手クレジットカード会社から約1億件の個人情報が流出しています。

このように、セキュリティ上の脆弱性をついた問題に加え、他人の住民番号を盗用する事件も数多く起きています。アメリカの社会保障番号制度でもなりすましが続発していると冒頭の関連記事でお伝えしましたが、韓国でも同様に住民登録番号が悪用される事件も起きています。

韓国政府によるセキュリティ強化

そのような状況を受けて、韓国政府としてもさまざまな対策を行っています。まずネット上での住民登録番号の登録を禁止しました。これは住民登録番号に限らず、住所や電話番号、生年月日もそうですが、こうした重要なプライバシー情報をネット上に置いてしまうと、常に漏えいの危険性にさらされているということになります。こうした危険をなくそうとしたわけです。

代わりに用いたのが、I-PINと呼ばれる新たな認証サービスです。I-PINとはInternet Personal Identification Numberの略で、主にオンライン金融取引で使われてきた、セキュリティを高めるための番号です。韓国はこれを公共サービス、さらには民間サービスへの転用したわけです。

さらに、個人情報保護法の改正も行われました。あまりに情報漏えい、なりすましが起こることを憂慮して、基本的に住民登録番号の収集を禁止することにしたのです。これによって、特定の事業者・そして政府にしか基本的には住民登録番号を扱えなくなったわけです。

 


このような対策の結果が明確になるのはもう少し先の話でしょう。ただ、悪意ある人たちがどのような行動を起こすかというところは、引き続き注視していく必要があります。

以上、韓国のマイナンバー制度「住民登録番号」の紹介でした。お読みいただきありがとうございました。

アメリカのマイナンバー「社会保障番号制度」とは?

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さて、今回からはマイナンバーに類似した制度を、各国がどのように運用しているのかを紹介していきます。第一回目はマイナンバー制度の先進国と言えるアメリカです。

 

社会保障番号制度(Social Security Number、略してSSN)

アメリカ版のマイナンバー制度と言える「社会保障番号制度(Social Security Number、略してSSN)」、これが始まったのはなんと1936年です。当時のアメリカは経済恐慌のただなか、フランクリン・ルーズベルト大統領によるニューディール政策の一環としてスタートしました。

もともとは年金等の社会保障制度における事務作業の効率化、それから徴税を主目的とした制度でしたが、現在では税金の支払いから、銀行口座の開設、アパート・マンションなど住居の契約、また大学に通うのにも仕事をするのにも必須となっています。もはや生活をするうえでは欠かせない情報なのです。

どのように利用するのか?

では、実際にSSNはどのように利用するのでしょうか。まず、日本と違う点としてSSNは9ケタの番号です。日本のマイナンバーは12ケタですね。また、日本のマイナンバーが各桁に特に意味を持たないランダムな数字の羅列なのに対して、アメリカの9ケタはそれぞれに意味があります。

使い方としては日本と大きく変わりありません。上述した生活のなかでの様々なシチュエーションで書類に記入をしたり、パソコン等のネット環境下で番号を入力したりといった感じです。ちなみに、日本ではマイナンバーを事業等に利用できるのは行政機関のみですが(提出は民間からも求められるが)、アメリカでは民間企業でもマイナンバーを使って自社の事業に活用することができるという違いもあります。

 

頻発するアイデンティティーセフト(Identity theft)

日本のマイナンバー制度をさかのぼること80年も前から、始まっていたアメリカの社会保障番号制度ですが、実はさまざまな問題を抱えてきました。その代表的な問題が、セキュリティ上の懸念であるアイデンティティーセフトです。

なりすましによる個人情報の悪用が起きている

これは、自身のIDを盗まれて情報を悪用される意味です。その悪用のされ方はさまざまですが、代表的なのがなりすましです。自分の番号を盗まれたと思ったら、身に覚えのない情報が突然多数来る(たとえば、なぜか勝手にクレジットカードに登録される、身に覚えのないものを勝手に購入されている、DM・チラシ等が大量に届くなど)といった被害が多発しているそうです。その数はなんと年間で1,000万件を超え、アメリカでもっとも多い犯罪がこうしたSSNの脆弱性を利用した詐欺なのです。

さらにアメリカは昨今不法移民を大きく問題視していますが、このようなアイデンティティーセフトを巧みに利用して、不法移民が職を得るために他人になりすますといった事態も起きているようです。

こうした事態は制度開始直後から起きており、その要因の1つとしては社会保障番号制度の記載されたカードにセキュリティ機能がないことも指摘されていました。なんと開始直後から長きにわたり、本人の顔写真すらなく、しかも紙製でつくられていたのです。そのため、簡単に模造品もつくれてしまう始末。80年も前のことですから、仕方ないのかもしれませんが、ずさんなセキュリティ意識が多くの問題を生んだことも間違いありません。

政府による様々な対策

もちろん、政府としてもこのような状態を野放しにするわけにはいきません。紙に印刷することを禁じたり、健康保険証からSSN番号の記載を削除したりといった取り組みが行われたそうです。

しかし十分な成果をあげられず、アメリカ政府はせっかくの社会保障番号を使わないですむようにシステムそのものを作り変えることを進めているそうです。

アメリカを教訓に日本で進むセキュリティ強化

日本のマイナンバー制度はこうしたアメリカの事例を受けて、仕組み的にも、技術的にもセキュリティの強度は高められているようです。たとえば目的外ではマイナンバーは使えない、利用の際には身分証明書が必要、カード自体に高いセキュリティ技術を使用、マイナンバーだけの独自システムを構築といったところです。

しかし、それでも完全に安心とは言えないでしょう。既に同じマイナンバーの人が発見されるなど、想定外の事態も起きているからです。日本においても、今後どのようなセキュリティ問題が起きるかというのは注視していかなくてはならないでしょう。

 

 

以上、アメリカのマイナンバー「社会保障番号制度」についてでした。お読みいただきありがとうございました。

マイナンバーが理想どおりの未来になれば、どんな素晴らしい社会になるの?

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マイナンバー制度が始まって約3ヶ月。便利さを実感した人もいれば、いまだ個人番号カードももらっておらず、なんだか始まっている実感があまりないという人もいるでしょう。同時にわずか3ヶ月ながら、すでに同じマイナンバーの人が発見されてしまうなど、セキュリティ面・システム面での不安も少なからず露呈されています。

今後、マイナンバー制度はどのように進行するのでしょうか、また政府の理想どおりに制度が構築できると、いったいどのような素晴らしい未来が訪れるというのでしょうか。考えてみたいと思います。

 

もしかしたら、SF映画みたいな未来社会が来るかもしれない!?

まず、本当に理想的というと、さまざまなSF映画や漫画に出てくるような社会が到来するかもしれません。有名なSF映画というと下記のような作品が挙げられます。ブレードランナーは、英ガーディアン紙が発表した世界中の科学者60人が選んだ「ベストSF映画」の1位にも選ばれています。

  • ブレードランナー
  • 2001年宇宙の旅
  • ターミネーター
  • 地球の静止する日
  • アイランド
  • スター・ウォーズ
  • アイ,ロボット

こうした社会が本当に訪れる可能性は決してゼロではないのかもしれません。

マイナンバーが描く未来社会

というのも、現在公開されているマイナンバーの未来像として、2020年ころに現在のような各種のカードをなくして、個人情報をスマートフォンのようなデバイスにひとまとめにする案や、さらには生態認証にするといった構想が描かれています。

2020年というと、とてつもなく未来のように思っていた人もいるかもしれませんが、すでにもうわずか4年後の話です。さすがにそれまでにすべての手続き等が生態認証になっているということはないでしょうが、この4年でその点についての議論が進むことは間違いないでしょう。

たとえば、パソコンにおいては本体やマウスにおいてはすでに生態認証が可能なデバイスも存在しています。技術的には決して不可能な話ではないのです。

インドにおける生態認証の事例

そのような社会を実現させようとすでに取り組んでいる国もあります。それは意外にも思えますがなんとインドです。インドでは日本のマイナンバー制度に似た制度として「アドハー」というプロジェクトが進行していますが、このシステムではインドの総人口10億人以上の生態認証データを管理して、各種の手続きに利用しようとしています。

インドで進む壮大なプロジェクト「アドハー」

日本の約10倍もの人口がいる大国家です。日本でのマイナンバー制度施行に伴う混乱を見ても、インドの取り組みがいかに大変であるかは想像がつきます。しかしながら、なんとインドでは10年にも満たない期間ですでに9億人以上の生態情報をデータベースに登録しているといいます。背景にはインドを代表するIT企業であるインフォシス(Infosys)が参加していることもあるようです。国だけではなく民間企業が全面的にバックアップしていることで、世界各国が驚くようなAPIやSDKがどんどん公開されているのです。

本格的な活用にはまだいたっていませんが、既に全国民の70%を超える9億人が登録されていることを考えると、本格的な運用段階に入るのも決して遠い未来ではないでしょう。将来的にはさまざまなヘルスケア情報を集約しての適切な医療サービスの提供、保健サービスの提供、さらには運送分野での改善、そしてもちろん各種の煩雑な行政手続き等の効率化などを検討しているそうです。日本のマイナンバー制度の理想的な未来についても、実はアメリカやヨーロッパ先進国ではなく、案外インドのアドハーの中に隠されているのかもしれません。

 

現実的な状況について

夢のある話、壮大な話をしてきましたが、現実にはマイナンバー制度が適用されるのは、最初の3年は社会保障・税金・災害対策の3分野だと言われています。上述したような、理想的な社会の到来にはまだ時間がかかるでしょう。

オリンピックまでにどこまでシステムを整備できるか

1つの目処となるのは2020年の東京オリンピックでしょう。たとえば、オリンピックのチケット販売については、マイナンバーを利用することが検討されているそうです。これがあれば、購入者がどの会場にいるのかということが把握できます。マイナンバーがあることで、スムーズな購入だけではなく、テロ対策等にも役立つことが想定されています。

また、海外から訪れた人にも臨時のマイナンバーが配布されることも検討されているそうです。これがあれば、オリンピックやワールドカップといったイベントで起こるチケットの転売等を防ぎ、安心安全、清廉な大会であることを世界にアピールすることができます。国の威信をかけたイベントにおいては非常に有効な施策だと言えるでしょう。

しかし、これらもまだまだ検討段階です。今後どのような展開を見せていくのか、日本国民みんなが注視したい話題だと言えるでしょう。

 

 

以上、お読みいただきありがとうございました。