マイナンバー制度をがっつり勉強する

マイナンバー制度の概要、そして詳細を理解することを目的としたブログです。

ドイツ「納税者番号」制度の概要

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前回はイギリスの国民ID制度について紹介しました。

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次は同じくヨーロッパの国の1つであるドイツです。ドイツにもマイナンバーに近しい制度はあります。それは「納税者番号(Steuer-Identifikations-Nummer, IdNr)」と呼ばれるものです。11ケタの番号で、赤ちゃん、子ども、それから外国から移住してきた人も含めて、ドイツ国内にいるすべての人にこの番号は発行されます。2003年に納税識別番号がつくられ、2009年から運用が開始されています。

日本と同じように、引っ越したり、結婚したりしても原則として番号がかわることはありません。扱う分野は、名称の通り税金関連です。さらに詳しい内容を下記で紹介していきます。

 

個人情報の起点が納税者番号

さて、この納税者番号、基本的には税務関連での利用のみに限定されています。たとえば、社会保障を見れば、それぞれの分野で個別の番号がふられています。医療分野では医療被保険者番号というものが存在しています。

ということで、納税者番号は税分野だけということで、主には毎年の収入や納税額がシステム化され、転居の際の証明書として使われたり、転職の際の証明書として使われたりします。毎年の税金還付などの際にももちろん必要なりまう。

以前に行政分野を横断する形での個人識別番号制度が検討されたこともありましたが、これは裁判で違憲と判決がくだり、実現はされませんでした。ですから、現在でも行政分野ごとに個別の個人番号が存在しています。納税者番号もその中の1つです。

 

用途が税務関連に限定されている理由

このような限定的な使い方になっている背景には、前回の記事で紹介したイギリスと同じようにプライバシー管理への高い意識があるようです。最近は日本でもプライバシーについては様々な場面で安全性が意識されるようになりましたが、ヨーロッパ諸国はそういった点ではずっと進んでおり、危機意識も高いと言えます。ドイツが納税者番号という形で税務関連のみに絞っているのにもそのような理由がありそうです。

また、もう1点あるのが、ドイツが過去の悪習を廃止したいと考えているという言われ方もあります。ナチス時代にドイツではユダヤ人に番号をつけて管理していた時代があったことを繰り返さないようにという思いがあるようです。旧東ドイツ時代にも、すべての国民に12ケタの個人番号を交付して、IDカードの携行を強制していたという事実もありました。

以前、マイナンバーのような共通番号制度の利用が検討されたこともありますが、“人格権の侵害”として違憲だと判断された過去もあります。このような理由から、事務的には不便な便があるかと思いますが、それでも税務関連だけにしぼった使われ方がされているのです。

 

国民ID制度のさまざまな形

さて、ドイツでは上述のように各分野でIDを分けるという方式をとっていましたが、1つの番号で管理するという国も当然あります。このように、国民ID制度にはさまざまな形があります。ここでは代表的な3つの方式を紹介します。それぞれメリット・デメリットがあり、どの方式を選択するかは国の歴史や方針、国民性と言ったところも反映されているように思います。

1 セパレートモデル

ちなみにですが、ドイツのように各分野で異なる番号を使う個人情報管理の方法をセパレートモデルと言います。各分野で番号が異なるので、連携が手間取ったりというデメリットはありますが、個人情報を一元管理しないことによるセキュリティを高めるというのが根本的な考え方です。個人情報保護に敏感なヨーロッパなどではこちらが用いられることが多いようです。

代表的な国としては今回紹介しているドイツになります。ドイツではデータ保護観察官という職種もあり、個人情報の不適切利用を防ぐために常に監視をしています。

2 フラットモデル

逆に日本のように1つの番号を中心として各分野の情報をまとめて管理しようというのが、フラットモデルという考え方です。政府に対する信頼性が高い国、たとえば福祉の手厚い北欧などでは、わりとこういった方式が多いようです。日本で政府への信頼が厚いかはなんとも言えないところですが、国民全体でみるとプライバシーに寛容だったり、危機意識が低いということは言えるかもしれません。代表的な国としてはスウェーデン、アメリカ、韓国、デンマーク、ベルギー、エストニアがあります。

3 セクトラルモデル

ちなみに、実はあと1つセクトラルモデルという制度もあります。これは1つのIDを中心として、それぞれの分野の情報にアクセスする際にはトランザクションIDを作成して情報を利用するという方法です。近年ではアメリカはフラットから徐々にセクトラルモデルに移行しつつあると言われています。代表的な国としてはオーストリアがあります。

 

 

以上、ドイツの納税者番号についてでした。お読みいただきありがとうございました。